おはようございます、中野表具です。
突然ですが、皆様は「越前和紙」をご存知ですか?
和紙の産地は日本全国にありますが、福井県越前市は1500年という長い歴史とその伝統から、品質、種類、量ともに日本一の産地と言われています。今でも紙の神様を祀りながら、数多くの製造元がそれぞれの越前和紙の伝統を活かした和紙づくりを行っています。
実は、襖(ふすま)を張る表具師と越前和紙は切っても切れない関係にあります。
襖(ふすま)に使うような大判の和紙(襖紙)の主要な生産地は越前で、古くから
良い襖(ふすま)には手漉きの越前和紙を使うというのが表具師のセオリーとなっておりました。
今では、手漉きにかわって効率の良い機械漉きの和紙が登場したり、
和室そのものが減少したりして、越前和紙を襖に張ることが少なくなってきました。
それでも、「手漉きならではの重厚な質感」「乾く前の和紙に直接彩色した鮮やかな色合い」、
「年数を経れば経るほどに白くなる白い和紙」など各製造元ならではの伝統的な技を駆使した和紙は見事なため、是非多くのお客様に張っていただきたいと日々思っています。お客様に勧めるためにはまず、お客様に接する表具師自らが学ばねばならないーーそう思い立ち、7月の上旬、全国の越前会表具師が集まって越前和紙の製造工程を見学しました。
(マスクの着用、検温など感染症の対策をして伺いました。)
自分たちが日頃張っている紙の製造工程を見ることはなかなかないのですが、
「一枚の紙を製造するのに途方もない苦労をされていること」がひしひしと伝わってきました。
原料であるトロロアオイや国産楮も手に入りにくい状況から、昔ながらの製法を守るのは
容易ではありません。和紙を漉く道具でさえも、つくれる職人が少なくなってきているのだそうです。
和紙の需要が落ち込む中、新商品を開発されたり、芸術性に特化されたりと和紙工場の方々も
挑戦をされているようでした。
新しい和紙の可能性も含めて日本の伝統の和紙文化を残していきたいと感じました。
そのためには表具師も襖(ふすま)をつくる工程で何か新しいことにチャレンジする必要があるのかもしれません。とても勉強になる会でした。
中野表具に修行に来ると、卒業試験で実際に襖(ふすま)を新調(一からつくること)します。
手漉きの和紙や機械漉きの和紙など様々な和紙に触れることもあるでしょう。
和紙の魅力に興味のある方も、中野表具へ!
越前和紙の制作風景を見学させていただきました。
本襖(伝統的な組子から作るふすま)が作れる表具師の集まり、越前会です。
※この記事は日経フランチャイズショー出展者ブログに掲載されたものです。